一般社団法人京葉人材育成会 代表理事・会長 中村 昌允(なかむら まさよし)
このたび、コンビナート人材育成教育を目的とする一般社団法人「京葉人材育成会」の会長に就任いたしましたので、ご挨拶させていただきます。
2005年に経済産業省が「製造業中核人材育成事業」を募集した際に、京葉地区には企業連合からなる組織はなかったので、2008年千葉県産業振興センターの下で「京葉臨海コンビナート人材育成講座」が開設されました。
2018年より京葉コンビナート各社が協議を重ねて、本来、コンビナート人材育成教育は企業連合で行うべきであるという考えにまとまり、京葉コンビナート中核企業4社を中心に、2021年12月に、企業連合による一般社団法人「京葉人材育成会」を設立しました。
2023年度から千葉県産業振興センターが実施している「京葉臨海コンビナート人材育成講座」を全面的に引き継ぎ、コンビナート各社のご要望に応えて、さらに一層充実した研修カリキュラムにし、コンビナートを担う人材育成に努めていく所存です。
製造現場は大きく変化しております。
各社の年齢構成は、かつては「二山構造」といわれましたが、熟練技能者(ベテラン)が退職し、若手主体の「一山構造」に移行しております。ベテランはトラブルに遭遇し解決することによって技術技能を身に着けてきました。その結果、プラントの運転は安定し自動化が進みましたが、その反面、技術・技能を身につけるOJTの機会はかつてに比較して大幅に減少しました。
一方、多くのプラントは1970年代から1980年代に建設され、設備の経年化が進み、維持管理ならびに設備更新が重要な課題になっております。背景にはベテランの技術・技能が継承できていないことがあります。
化学・石油産業は、カーボンニュートラルなどの社会環境の変化によって、石油を出発原料とする産業構造の見直しの時期に来ていること、中国やアジア諸国に価格競争力で及ばなくなっているにも拘わらず、スペシャリティ分野への転換が遅れていることなどの課題を抱えております。
このような時代に人材(人財)育成は、国・企業にとって最重要課題の一つといえます。また、個々人にとっても高齢化社会を生き抜くには、それぞれの専門技術・技能を身に着けることが必須の課題です。
京葉人材育成会は、「科学的・論理的思考、行動できる人材育成」を目標に置いております。
「現場で活かせる知識」「現場で使える技量」「現場で発想できる感性」を総合的に発揮できる人材の育成を目指しております。ライン管理者は安全管理の要です。また、各階層に対応した安全感性の向上、実務に役立つ基礎知識講座、協力会社向け教育の充実に努めていきます。
『安全』は、化学・石油会社含め製造業にとって各社に共通する基盤技術です。
各社の知恵と経験を相互に交換しあえる他流試合の場、コンビナートの将来像を語りあい、新たな技術を安全に製造できることを相談しあえる場をつくることを考えています。
石油・化学産業、製造業は大きな転換期にあります。この転換期を乗り切る人材の育成、さらにはコンビナート並びにコンビナート各社の発展に寄与していく所存です。
一般社団法人京葉人材育成会 会長 中村 昌允